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略奪貴公子
第14章 二人の男



……



 急がなければ

 もうじき月が眠り、太陽が目を覚まし

 此の地が朝を迎えてしまう。



 その前に、この腕の中で眠る我が姫を、公爵夫人へと戻してやらなければ──。




……




 数刻後

 暗闇の中、クロードがその腕に眠るレベッカを抱えて馬車から姿を現した。

 馬車には二頭の馬が先頭に繋がれており、そして御者台では、付き人のレオが手綱を引いていた。

 彼等が今いるのはバイエル伯の城ではなく、モンジェラ公爵領の敷地である。

「クロード様、また…後ほど」

「──そうですね」

 大きくて目立つ馬車はいったんこの場を立ち去る。

 残されたクロードは山道を歩いて抜け出ると、荘厳なシルエットの公爵邸へ近付いた。

 城の門を超えて、庭に入る。

 バラ園の間を通り抜けレベッカの寝室へつながるバルコニーを見上げる。


....ザッ


「…?」

「……」

 その時、右手の植木が揺れて音を立てたかと思えば、そこから何者かが姿を現した。



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