この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
略奪貴公子
第14章 二人の男
……
急がなければ
もうじき月が眠り、太陽が目を覚まし
此の地が朝を迎えてしまう。
その前に、この腕の中で眠る我が姫を、公爵夫人へと戻してやらなければ──。
……
数刻後
暗闇の中、クロードがその腕に眠るレベッカを抱えて馬車から姿を現した。
馬車には二頭の馬が先頭に繋がれており、そして御者台では、付き人のレオが手綱を引いていた。
彼等が今いるのはバイエル伯の城ではなく、モンジェラ公爵領の敷地である。
「クロード様、また…後ほど」
「──そうですね」
大きくて目立つ馬車はいったんこの場を立ち去る。
残されたクロードは山道を歩いて抜け出ると、荘厳なシルエットの公爵邸へ近付いた。
城の門を超えて、庭に入る。
バラ園の間を通り抜けレベッカの寝室へつながるバルコニーを見上げる。
....ザッ
「…?」
「……」
その時、右手の植木が揺れて音を立てたかと思えば、そこから何者かが姿を現した。