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略奪貴公子
第14章 二人の男

 アドルフは舌打ちとともに一歩後退する。

 クロードは、レベッカが落ちないようにその身体を支えながら、鋭い視線を目の前のアドルフに向けていた。

「……。まだまだ子供だ」

「くそ…っ」

「悔しいですか?」

「──!」

キンッ!

 突然、クロードの剣先が素早く動く。

 中途半端に構えていたアドルフは慌てて剣を振った。

ガキンッ!──カッ

カン───!

 白刃の打ち合う音が四回、五回と、響いたのち、音がやむ。

 ──するとその場所には、勝者であるクロードのみが立っていた。

「はぁ…、はぁ…、ちっ」

 尻餅をついて地面に倒れたアドルフは、頭上から見下ろすクロードを歯を食い縛り睨んでいる。



 クロードが冷たい声色で言った。



「それでは姫を守れない」


「……ッッ」


「…自身の無力さを知るがよい青年よ。

 私もかつて、無力さ故に大切な女(ヒト)を失った」


「なん…だと……!?」




 悔しければ、私から奪い返すことです

 そなたの大切な姫君を──







 ──



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