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略奪貴公子
第14章 二人の男
『 きっと伯爵も…レベッカ様に想いを寄せておられる筈です 』
『 違うわ!伯爵がわたしに関わるのは…っ
わたしが、彼の正体を知っているからなの…! 』
『 どういうことですか? 』
『 伯爵はただの貴族ではなくて── 』
──
レベッカとメイドの、この不可解な会話。
あの時レベッカはいったい何を伝えようとしたのか…。それが気になったアドルフは、城や街の人間たちに話を聞いて回ったのだ。
…そして彼は気付いたのだった。
「──…近ごろ、この辺りである怪盗の被害が立て続けに起こっているらしい」
「……ほぉ」
「怪盗の特徴は、ブロンドの長髪、白いマスケラに丈の長いマント……。そして、仮面越しでもわかる絶世の美男子……か」
アドルフは馬鹿にした調子で笑った。
「それ、あんただよな」
「…ご名答です」
対するクロードは悪びれる様子もない。だからアドルフは不機嫌だった。
「レベッカを巻き込んでどういうつもりだ?言えよ…何が目的だ」
「──…」
「…っ…言え!」
問いただすようにアドルフに詰め寄られ、目をそらしたクロード
──かと思えば
彼は一瞬で腰の剣帯に下がった剣を構え、アドルフの剣先を横に弾いた。
「なっ!?」
...ピタッ
形成が逆転し
今度はアドルフの鼻の先に、研磨のゆきとどいた細い剣先が向けられる──。