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略奪貴公子
第15章 人相書き

 レオはしばらく、沈黙を挟んだ。

 その無表情ゆえに何を考えているのか皆目、検討もつかないが…。

「──…」

 ゆっくりと振り返り、冷静な目でレベッカを見下ろした。

「……私が主(アルジ)に仕え始めたのは十年前、クロード様が十四歳であられたとき…。その頃からあの方はずっと、ある女性を探しておられた」

「…!誰をですか?」

「存じません。肖像画を私に見せて、名も明かさず…この女性を内密に捜索するようにだけ言いつけられました」

「……見つかったの?」

「はい」


ドクン


 自分の胸がなにか嫌な音を立てている。


「──…しかし生きてはいなかった」


「え……?」


「ちょうど一年前です。その女性がすでに天に召されていたことがわかったのは」


「そんな…」


 クロードのあの言葉が、哀愁を含ませた声とともに彼女の中で繰り返される。


 それを知ってか知らずか、レオはあっさりと背中を向け、会話を強制的に終わらせてしまった。







 ──…



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