この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
略奪貴公子
第15章 人相書き
「これからは軽率な行動はつつしみます。…っ…とり乱してごめんなさい」
「いえ」
レベッカが俯き、大人しくさがった。
レオはさっさと寝室に向かって歩き出す。背中を見せて歩く彼を……レベッカはもう一度、呼び止めた。
「もうひとつだけ──…教えていただきたいの」
「…何をでしょうか」
「彼の…クロードの、《 大切な女(ヒト) 》を、あなたは知ってる?」
「……?」
レオが振り返りもせず立ち止まった。レベッカからは見えないところで眉を潜める。
「いったい何の話でしょうか」
「昔…大切な女(ヒト)を失ったと、わたしが眠っている時にクロードがそう言ったような気がするの。ねぇ、あなたは何かご存じ…?」
《 私は自身の無力さ故に、大切な女を失った 》
あの夜。自分は眠っていたはずなのに、何故かこの言葉だけ記憶の片隅に残っている。
クロードは誰かと話していたのだろうか、何も思い出せないけれど…!
「もしかして…クロードには…」
自分から呼び止めておいて、言葉をつまらせるレベッカ。彼女は答えを聞くのが怖くもあった。
それでもすがるような声で聞いていた。