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略奪貴公子
第16章 宝を守る武器

「クロードの大切な女(ヒト)は、もういない……?」

 レオがいなくなった後、レベッカは寝室の椅子で物思いにふけっていた。

「……」

 クロードには別に好きな女性がいた

 そしてその女性は死んでしまった

“ 一年前なんてつい最近だわ。今でもきっと、その人を忘れられないのね… ”

 これまでのクロードとの関わりで、彼から好意を寄せられているのではと思う時もあった。大切にされているんじゃないかと。

 でもわたしは──その女の人の代わり…なの?

 考えるだけで苦しくなる。

 こんな気持ちで部屋にこもっていてはかえって体調が悪化しそうで、レベッカは部屋の外に出た。




ザワザワ……


「──?」

 ちょうど彼女が扉を開けた時、調理場の中が賑やかなことに気が付く。

「スゴく美味しい!ほっぺた落ちちゃう」

「きゃっ…いい子ねっ」

「ほんとーに可愛いわ♪」

 賑やかなメイドたちに混じって、覚えのある高い子供の声が聞こえてきた。

 レベッカの目が思わずそちらに向く。

 そして歩いていた。

「レベッカさまはどこかな?この前みたいに一緒に食べようっと」

 その声が、懐かしくて懐かしくて…。聞こえてくる無邪気な言葉が可愛らしくて、レベッカは駆け寄ると調理場の戸を開けて覗いていた。

「──! あっ、みっけ!」

「カミル!」

 そこには予想通りの満開の笑顔で、入ってきた彼女を見るカミルがいたのだ。


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