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略奪貴公子
第19章 口止め
「やっぱりあの子が噂の泥棒…っ」
クロードの部屋から遠ざかるレオの足音を確認しながら、隣の部屋に身を隠す者がいた。
“ あの言い方は、自白をしたも同然だわ ”
予想はしていたものの知ってしまったこの事実に動揺していたのは、ブルジェ伯爵の夫人だった。
つまり、クロードの母にあたる女性──
「わたくしの直感は間違っていなかったというわけね…」
泥棒の特長を聞いたときから、まさかと思っていたが、これで間違いない。クロードこそが犯人だ。
動揺し、戸惑う筈の夫人だったが
「──…」
夫人はその口許に笑みを浮かべていた。
“ これで、あの子が犯人だという証拠さえ手に入れれば…あの子を家から追い出せる ”
夫人は息子であるクロードを愛してはいなかった。
そして彼の兄、ダニエルを溺愛していた。
夫人はこれを機にクロードを伯爵家から追い出そうともくろみ、そして、夜を待った──。
───