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略奪貴公子
第21章 脅迫者



 ……



「ぅ……?」



 その夜レベッカは、異変とともに目を覚ました。



 いつものベッド
 夜の静寂──

 仰向けで眠っていたのは違いない。しかし、何かが頬に触れてとっさに目を覚ました筈なのに、彼女の視界には何も映らなかったのだ。

 “ 目隠しされてる……? ”

 それは彼女の目元を布が覆っているからだった。

 柔らかい布の感触がある。

 だがその布を取り去ろうとした手は止まってしまう。

 誰か……

 近くに誰かがいて

 自分を見下ろしているような気がしたから。

 “ …っ…誰かいるの? ”

 耳をすますが物音は無い。

 緊張した自分の呼吸音が、少しずつ大きくなって聞こえるだけだ。

「そこにいるのは、誰ですか……?」

 少し怯えた声が、暗闇に問う。

「……」

 問いかけは霧散して、返事はこない。

 レベッカの胸の内がふと騒いだ。

「……もしかしてクロード、あなたなの?」

「──…」

 なんの確証もないのにそう思うのは、期待している自分がいたからだろう…。

 レベッカが答えを待っていると、その " 誰か " が、敷布に広がる彼女の髪をひとふさ掬った。


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