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略奪貴公子
第22章 決意の涙
「ア…アドルフなの…?」
何が起こっているのだろう。
レベッカは乱れた胸元を隠すのも忘れて、暗い部屋に立つアドルフに呆然としていた。
ただ、今のアドルフの目はレベッカではなくて、足元に転がるエドガーに向いていた。
「お前…!レベッカに何をしていた?」
「…ぶ、無礼者が…!いや、違う、侵入者だな?人を呼ぶぞ?」
「人呼んでマズイのはお前の方だろうよ、外道が」
凛々しい目が、怒りに歪んでエドガーを睨んでいる。
そして起き上がろうとしたエドガーを突き飛ばし、尻もちをついた相手に乗り上げ、胸ぐらを掴んだ。
アドルフとエドガーは同年代だが、体格が違う。あっという間にエドガーは押さえ付けられた。
「…ゲホッ…貴様…どこの犬だ!?俺はこの城の次期当主だぞ。こんな真似をして許されると思うなよ!?」
「次期当主……?」
なら、お前が……!
吠えるエドガーの言葉を聞いて、アドルフの顔がますます険しくなる。