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略奪貴公子
第23章 硝子の音





.....





 もし君が眠っているとき


 窓の硝子 (ガラス) の割れる音が聞こえたら


 君はどんな行動をとるのだろう。




『 音の正体を確かめに行くさ 』




 勇敢な君は、音の出処を探して、つき止め


 部屋のドアを開けて…


 割られた窓を眺めるだろう。


 飛び散ったガラスを見下ろすだろう。


 小さな破片がキラキラと散らばり煌めいて


 夜空の星をうつして綺麗だろうね。




 でもその後は?どうするんだい?




『 もちろん、侵入した奴を捕まえるんだ 』




 勇敢な君は侵入者を探しにいく。


 臆病な君は侵入者を探しにいく。






 どうして君は、侵入者を探すのだろう。


 私なら、逃げ出した者を探すのに。





 床一面のガラスの欠片は──


 外の世界への憧れ、仕舞いきれない羨望の礫。


 置き去りにされた可愛そうな君が


 無意識に流した…孤独の涙の結晶なのに。












......







 第23章 硝子の音




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