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略奪貴公子
第23章 硝子の音
その夜、公爵家の城はひどい騒ぎだった。
コンコン!コンコン!
衛兵がレベッカの寝室の戸を慌ただしく叩く。
「失礼いたします奥様!ご無事でございますか!?」
「──…ええ、無事です」
衛兵が戸を開けて中の様子を見たとき、彼女はすでに起きていて、ベッドに静かに腰かけていた。
「城の窓が破られました…っ」
「…ええ」
「侵入者が紛れている可能性がありますので十分にご注意下さい。…念のため、部屋の内鍵もお使いください…!」
「わかりました」
衛兵はそれだけ言うと、すぐに別部屋の確認に向かった。
レベッカは言われた通りに内側から部屋の鍵をかける。
“ ……不思議だと思わない? ”
どうして彼は、硝子を割って外に出るのか…。
鍵をあければいいだけなのに。
そうすれば静かに逃げ出せるのに。
──こんな騒ぎすらも余興かしらね。
確かに昔のわたしなら
何処かも知れない侵入者を探して
侵入者に怯えていたかもしれないわ──。
──