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略奪貴公子
第7章 花ヒラク乙女


「安心しなさい…ここは花畑」


「──ぁッ…、クロード‥‥//」


「恥ずかしがらす、あなたも…ッ…内なる花を咲かせればよいのです」





 ....



《 お願い…助けて……! 》

 彼女の懇願──

 それは、疼く身体の苦しみから、救い出してほしいという意味だった。

 しかしそれだけではない。

 レベッカはもっとずっと以前から、助けを待っていたのだから。

 そしてそれにいち早く気が付いたのは、皮肉なことに彼女自身ではなかったのだ。

 あの夜、クロードがレベッカを抱いた時──彼女は背負った何かに怯えていた。

 彼女が背負ったもの…公爵夫人という立場と、男に溺れる訳にはいかない、貴族の娘としてのプライドに。

 だがそれは、レベッカが生まれながらの貴族だからではない。

 むしろ貴族である自分に馴染めず、小さな頃から…なんとか貴族として振る舞わなければと自分を律して生きてきたからこそ──彼女は今、このように貴族の娘としての自覚を重く背負ってしまっているのだろう。



《 …ならば、私が盗もう 》



 ならば私があなたを奪い、連れだそう。


 公爵家の城から……政略的な婚姻の場から。


 それができるのはブルジェ伯爵ではなくクロードだ。


 無法者の怪盗が奪い取ろう。


 貴族とかいうくだらない牢獄の中で、助けを求める菫の瞳の乙女を──。






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