この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
略奪貴公子
第8章 再会
後日
レベッカは城の中庭を散策中に、見覚えのある少年とはち合わせた。
ヨーロッパに特徴的な、雲ひとつ見あたらない真っ青な空の下。レベッカがちょうど昼食を終えた時間帯だった。
「……、君は…?」
「……げっ!」
お互いの顔を見た途端、二人の動きは止まる。
どこかで見たことある気がする…
“ 誰だったかしら……?この子 ”
レベッカが思い出そうとする間に、赤茶色の髪の小さな男の子は、中庭を囲む柱の裏にさっと隠れてしまった。
「……」
レベッカはその柱を黙って見つめる。
「……」
「‥‥ドキドキ」
「……?」
そー…っ
──バチッ
「……ッ!!!」
「???」
柱からゆっくり顔を出した少年は、再びレベッカと目があって顔をひきつらせた。
なぜか勝手にあたふたしている。
「な、なんだよお前っ…」
「?」
「何とか言えよ!」
「……んー」
この反応は、こちらが困る。
“ 確かに見覚えがあるんだけど……、あっ! ”
その時レベッカはひとつの光景を思い出した。
『 今のうちに逃げようよ 』
『 そうだな… 』
暗い夜のバラ園で、こそこそと話していた二人組を。
「思い出したっ!」
「──…っ」
柱から顔だけ出したその少年を、思わず指差した。
「君はあの夜にクロードと一緒にいた──」
「あの時ののぞき魔!!!」
二人はほぼ同時に叫んでいた。