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二重生活
第15章 スピカ

促され、星空を見上げる。
南東の空に、凛とした青白い星と、存在感のある赤い星が仲良く並んで輝いていた。
「スピカと火星だよ」
「彗君、天体に詳しいの?」
「ド田舎育ちですから。ばーちゃんと子供のころよくこうして首が痛くなるまで星見てた」
また1つ、彗君のことを知る。
「スピカは、上品なイメージから真珠星って呼ばれてるんだ。
でも、実際は超高温で、放つ光も太陽の何百倍もあるんだって。だから、こんなに離れていても1等星として輝いて見えるんだって。
こーんなに、清純そーな鞠香さんが、ベッドの上ではすごーーーく情熱的な子になるみたいに」
妖艶な微笑みを浮かべながら、鞠香の背中を滑る指先。
「で、今年は火星が地球に近づく年らしくて、あんなふうに並んでんだよね」
「寄り添ってるね。綺麗……。ねぇ、あの少し離れたとこにある明るい星は?」
オレンジ色に光る、眩しい星の瞬き。
「あれは、アークトゥルス……スピカと夫婦星って呼ばれてる」
「夫婦星……」
彗君の腕に力がこもる。
「見て。一等星のスピカ、アークトゥルス、そのうえに少し暗い星があるじゃん。
それを繋いだのが、春の大三角なんだ。
ほんとは、暗めの星が俺なんだろーけど……
あの火星が俺なんなんだって、勝手に思ってる。
火星とスピカがこうして並んでる今は、いいことありそーな気がするんだよね」
もう、いいことあったけど。彗君はそう付け足して微笑んだ。
「うん。……それに、火星は、地球人の希望の星だよ」
寄り添いあって、もう一度空を見上げた。
青い星と赤い星は、やっぱり仲良く並んで夜空で瞬いていた。
南東の空に、凛とした青白い星と、存在感のある赤い星が仲良く並んで輝いていた。
「スピカと火星だよ」
「彗君、天体に詳しいの?」
「ド田舎育ちですから。ばーちゃんと子供のころよくこうして首が痛くなるまで星見てた」
また1つ、彗君のことを知る。
「スピカは、上品なイメージから真珠星って呼ばれてるんだ。
でも、実際は超高温で、放つ光も太陽の何百倍もあるんだって。だから、こんなに離れていても1等星として輝いて見えるんだって。
こーんなに、清純そーな鞠香さんが、ベッドの上ではすごーーーく情熱的な子になるみたいに」
妖艶な微笑みを浮かべながら、鞠香の背中を滑る指先。
「で、今年は火星が地球に近づく年らしくて、あんなふうに並んでんだよね」
「寄り添ってるね。綺麗……。ねぇ、あの少し離れたとこにある明るい星は?」
オレンジ色に光る、眩しい星の瞬き。
「あれは、アークトゥルス……スピカと夫婦星って呼ばれてる」
「夫婦星……」
彗君の腕に力がこもる。
「見て。一等星のスピカ、アークトゥルス、そのうえに少し暗い星があるじゃん。
それを繋いだのが、春の大三角なんだ。
ほんとは、暗めの星が俺なんだろーけど……
あの火星が俺なんなんだって、勝手に思ってる。
火星とスピカがこうして並んでる今は、いいことありそーな気がするんだよね」
もう、いいことあったけど。彗君はそう付け足して微笑んだ。
「うん。……それに、火星は、地球人の希望の星だよ」
寄り添いあって、もう一度空を見上げた。
青い星と赤い星は、やっぱり仲良く並んで夜空で瞬いていた。

