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二重生活
第17章 in the closet
買い物のついでに、ポピーを連れて散歩に出ることにした。
韓国料理や韓流グッズのお店が軒を連ね、様々な年代の女性で賑わう街。
イスラムの香りがするディープな一角や、中華にタイ料理、ネパール料理など、アジア諸国のお店が混在する街。
だけど、少し外れると、細い道沿いには昔ながらの家が建ち並び、銭湯や小さな商店……ほのぼのとした景色が広がっていた。
開けっぱなしの玄関に座って新聞を読むおじいさん。
前後に子供を乗せてガシガシと自転車をこぐお母さん。
電車で10分ほどしか離れていないのに、鞠香が住む街とは全然雰囲気の違う街だった。
表参道界隈は、みんながよそ行きの顔で歩いているような場所だ。
ジョギングをする人ですら、一流のブランドのものを身につけ、見られていることを常に意識している。
背筋が伸びるあの街を嫌いではなかったけど、ここはとても居心地がいいと思った。
暮らしていくということは、現実だ。
理想的な生活は、続けていくとどこか無理をしている気になる……。
気づいたら鼻歌を歌っていた。さっきすれ違ったおじさんのように。
韓国料理や韓流グッズのお店が軒を連ね、様々な年代の女性で賑わう街。
イスラムの香りがするディープな一角や、中華にタイ料理、ネパール料理など、アジア諸国のお店が混在する街。
だけど、少し外れると、細い道沿いには昔ながらの家が建ち並び、銭湯や小さな商店……ほのぼのとした景色が広がっていた。
開けっぱなしの玄関に座って新聞を読むおじいさん。
前後に子供を乗せてガシガシと自転車をこぐお母さん。
電車で10分ほどしか離れていないのに、鞠香が住む街とは全然雰囲気の違う街だった。
表参道界隈は、みんながよそ行きの顔で歩いているような場所だ。
ジョギングをする人ですら、一流のブランドのものを身につけ、見られていることを常に意識している。
背筋が伸びるあの街を嫌いではなかったけど、ここはとても居心地がいいと思った。
暮らしていくということは、現実だ。
理想的な生活は、続けていくとどこか無理をしている気になる……。
気づいたら鼻歌を歌っていた。さっきすれ違ったおじさんのように。