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二重生活
第3章 CAFE a.m.
表参道の交差点から、根津美術館方面に歩いて何度か曲がったところに、CAFEa.m.はあった。
五階までエレベーターで行き、そこから階段を上がる。
秘密めいていて、とてもワクワクする造りだと思った。
通路を抜けると、まるで高級リゾート地にいるようなラグジュアリーな空間が広がり、青山界隈はもちろん六本木方面も望めるテラス席があった。
夜はさぞかし、夜景が綺麗だろう。
色とりどりの花や緑も多く、風も心地よかった。
「めっっっっちゃめちゃ、素敵でしょ?」
沙織が隣で胸を張る。
「うん……。とっても素敵……」
思わず、溜め息が漏れた。
「夜はラウンジになってて、これまたお洒落な雰囲気の中でビールやワインが飲めちゃうの。鞠香、絶対気に入ると思ったんだぁ。あたしもちょくちょく来るからさ、サービスしてねっ」
ちゃっかりした沙織節が出た時、
「沙織さん」
声がして振り向くと、すらりと背の高い男の子が立っていた。
緩くパーマがかかった漆黒の髪が、形のいい眉にかかり、
切れ長で意志が強そうな、だけど憂いを含んだ黒曜石のような瞳が、色気と優しさを湛えていた。
その視線だけで射ぬかれてしまう、不思議な力を持った瞳だと思った。
五階までエレベーターで行き、そこから階段を上がる。
秘密めいていて、とてもワクワクする造りだと思った。
通路を抜けると、まるで高級リゾート地にいるようなラグジュアリーな空間が広がり、青山界隈はもちろん六本木方面も望めるテラス席があった。
夜はさぞかし、夜景が綺麗だろう。
色とりどりの花や緑も多く、風も心地よかった。
「めっっっっちゃめちゃ、素敵でしょ?」
沙織が隣で胸を張る。
「うん……。とっても素敵……」
思わず、溜め息が漏れた。
「夜はラウンジになってて、これまたお洒落な雰囲気の中でビールやワインが飲めちゃうの。鞠香、絶対気に入ると思ったんだぁ。あたしもちょくちょく来るからさ、サービスしてねっ」
ちゃっかりした沙織節が出た時、
「沙織さん」
声がして振り向くと、すらりと背の高い男の子が立っていた。
緩くパーマがかかった漆黒の髪が、形のいい眉にかかり、
切れ長で意志が強そうな、だけど憂いを含んだ黒曜石のような瞳が、色気と優しさを湛えていた。
その視線だけで射ぬかれてしまう、不思議な力を持った瞳だと思った。