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二重生活
第21章 encounter
「鞠香!」
……………………
「リョウ君……!」
近づいてきたのは、リョウ君だった。友達と共に今ちょうど、脱衣場から出てきたところだった。
会うのは、あの花見以来……。
「久しぶり鞠香。元気?」
「……」
「てか、一人?なの?」
露天風呂の奥で、彗君がこちらに近づいてくるのがわかった。
鞠香は、大きな声で言った。
「あのねっ、リョウ君! ……しゅ、主人が部屋にいるのっ。私、少しだけ入ったらすぐ戻らないと!」
リョウ君に、私たちのことがバレたら大変なことになってしまう。
お店のみんなに知られたら、彗君に迷惑がかかってしまう……。
「ねぇ、あっちの方行かない? 町の灯りが見えるみたい」
「今日は鞠香、積極的でいいね。行こーぜ」
肩に腕をまわされ、みんなに囲まれるように彗君から遠ざかる。
「この人が、前にお前が言ってた鞠香さん?」
「そー。綺麗っしょ」
「こんばんは。ほんと、綺麗な人ですね。想像以上」
「今度、お店食いにいきますね」
「……うん」
(彗君……ほんのすこしだけ待って……)
振り替えると、湯気でもう彗君の姿は見えなかった。
「よし。じゃー、一緒に入ろ」
悪い人妻鞠香さん……耳元で響くリョウ君の囁きに身を固くする。
腕を捕まれて、湯に浸かった。密着する身体。
リョウ君の友達は、夜景を見下ろしてはしゃいでいる。
浮力で自由にならない身体を、後ろから抱かれて、冷たい唇がうなじに触れた。
……………………
「リョウ君……!」
近づいてきたのは、リョウ君だった。友達と共に今ちょうど、脱衣場から出てきたところだった。
会うのは、あの花見以来……。
「久しぶり鞠香。元気?」
「……」
「てか、一人?なの?」
露天風呂の奥で、彗君がこちらに近づいてくるのがわかった。
鞠香は、大きな声で言った。
「あのねっ、リョウ君! ……しゅ、主人が部屋にいるのっ。私、少しだけ入ったらすぐ戻らないと!」
リョウ君に、私たちのことがバレたら大変なことになってしまう。
お店のみんなに知られたら、彗君に迷惑がかかってしまう……。
「ねぇ、あっちの方行かない? 町の灯りが見えるみたい」
「今日は鞠香、積極的でいいね。行こーぜ」
肩に腕をまわされ、みんなに囲まれるように彗君から遠ざかる。
「この人が、前にお前が言ってた鞠香さん?」
「そー。綺麗っしょ」
「こんばんは。ほんと、綺麗な人ですね。想像以上」
「今度、お店食いにいきますね」
「……うん」
(彗君……ほんのすこしだけ待って……)
振り替えると、湯気でもう彗君の姿は見えなかった。
「よし。じゃー、一緒に入ろ」
悪い人妻鞠香さん……耳元で響くリョウ君の囁きに身を固くする。
腕を捕まれて、湯に浸かった。密着する身体。
リョウ君の友達は、夜景を見下ろしてはしゃいでいる。
浮力で自由にならない身体を、後ろから抱かれて、冷たい唇がうなじに触れた。