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二重生活
第23章 毒りんご
「鳴ってるよ?」
沙織に言われ、ケータイを見ると、ディスプレイは雄一からの着信を告げていた。
バタバタするあまり、雄一に飲みに行くことを伝え忘れていた……。
「お、鞠香。仕事が早く終わったんだ。この前テレビに出ていた鉄板焼の店……なんか、賑やかだな。外?」
「そうなの、沙織と飲んでて」
急にソワソワし出した鞠香を見て、沙織が口パクで「旦那さん?」と聞いてきた。
頷くやいなや、ケータイを奪い、
「今晩は~。お久し振りです。はい! いつも鞠香にお世話になってます。お仕事終わられたんですか? 今、鞠香と、カフェのバイトの子と飲んでるんで、いらっしゃいませんか?」
いつもの沙織節で畳み掛ける。そして、
「来るって。六本木からだから15分以内に来れるみたい」
ピースサインをして言った。
沙織はみんなで飲むのが好きで、今までもこんな場面は数多くあった。だけど、今回は……シチュエーションや相手が悪すぎる。
「沙織……。私、彗君とのことがあるから気まずいよ」
「……あ。そうか……。
ごめん! 浮かれてそのことすっかり忘れてたよ~2対2でちょうどいいと思って……どうしよう。ごめん」
「いいよ。大丈夫。雄一とは普通にしてるし、四人でワイワイ飲むくらい大丈夫」
「ごめん。でも、絶対ボロ出したりしないから。
それに、ほら、こうしてリョウ君と飲んでるアピールしたほうが、彗君とも飲みに行きやすくなる……かも? うん! きっとそうだよ!」
「そうやってすぐ調子に乗らない」
「はい、ごめんなさい……」
「もう……」
リョウ君のことを気に入った沙織のために、一肌脱ごう……
そう気持ちを切り替えた。
雄一が来ると告げると、リョウ君は、
「わぁ、それは楽しみです」
と目を輝かせた。
「今夜は楽しい夜になりそう、あたしワイン選んでくる」
沙織が、ワインを選んでいる間、鞠香は重大なことを思い出していた。
沙織に言われ、ケータイを見ると、ディスプレイは雄一からの着信を告げていた。
バタバタするあまり、雄一に飲みに行くことを伝え忘れていた……。
「お、鞠香。仕事が早く終わったんだ。この前テレビに出ていた鉄板焼の店……なんか、賑やかだな。外?」
「そうなの、沙織と飲んでて」
急にソワソワし出した鞠香を見て、沙織が口パクで「旦那さん?」と聞いてきた。
頷くやいなや、ケータイを奪い、
「今晩は~。お久し振りです。はい! いつも鞠香にお世話になってます。お仕事終わられたんですか? 今、鞠香と、カフェのバイトの子と飲んでるんで、いらっしゃいませんか?」
いつもの沙織節で畳み掛ける。そして、
「来るって。六本木からだから15分以内に来れるみたい」
ピースサインをして言った。
沙織はみんなで飲むのが好きで、今までもこんな場面は数多くあった。だけど、今回は……シチュエーションや相手が悪すぎる。
「沙織……。私、彗君とのことがあるから気まずいよ」
「……あ。そうか……。
ごめん! 浮かれてそのことすっかり忘れてたよ~2対2でちょうどいいと思って……どうしよう。ごめん」
「いいよ。大丈夫。雄一とは普通にしてるし、四人でワイワイ飲むくらい大丈夫」
「ごめん。でも、絶対ボロ出したりしないから。
それに、ほら、こうしてリョウ君と飲んでるアピールしたほうが、彗君とも飲みに行きやすくなる……かも? うん! きっとそうだよ!」
「そうやってすぐ調子に乗らない」
「はい、ごめんなさい……」
「もう……」
リョウ君のことを気に入った沙織のために、一肌脱ごう……
そう気持ちを切り替えた。
雄一が来ると告げると、リョウ君は、
「わぁ、それは楽しみです」
と目を輝かせた。
「今夜は楽しい夜になりそう、あたしワイン選んでくる」
沙織が、ワインを選んでいる間、鞠香は重大なことを思い出していた。