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二重生活
第5章 上書き
体が軋むほど、抱き締められた。

「鞠香さん……」

優しい声が耳たぶを震わせる。
髪を撫でる指が、忌まわしい記憶を塗り替えてくれるようで……。

「彗君……。お願い。キスして」

そんな言葉を口走ってしまっていた。
彗君は驚いた顔をゆっくり優しげな表情にして、鞠香の頬を両手で挟み、自分のほうを向かせた。
それから、そっと唇に触れた。

指で、唇で。

「怖かったね……? もう大丈夫だよ」

「……うん。ありがとう」

何度も大丈夫だよと言ってくれる優しい声。

涙を拭ってくれる、あったかい指を握って、その手を自分の胸にあてた。
侵触されたところ全てを、彗君に触れて欲しかった。

彗君はそれがわかったのか、キスをしながら、まるでうさぎの背中を撫でるようにそっと胸を包み込んでくれた。
そして、はだけた胸元のボタンを一つ一つ閉めてくれた。

「迷惑かけてごめんなさい……」

「鞠香さんは悪くないよ? 悪いとしたら、可愛すぎただけだよ。今日も髪を下ろしててすげー可愛い」

明るく言ってくれる言葉に救われる。
彗君……。
彗君がいてくれると、なんでこんなに心強いんだろう。

「あ。そーだ、鞠香さんの好きなミルクティ淹れてきてあげる。すぐ戻ってくるから」

それでも、指を握って離さない鞠香に、

「また抱きしめてあげるから、待ってて」

頼もしい笑顔で言って、手をぎゅっと握ってくれた。

彗君……。
いつのまにか、心のなかでとても大きくなっていた存在。



こんなこと、
思っちゃいけないのに……。
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