この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
二重生活
第6章 義務と演技
「バイト始めてよかったな。最近の鞠香、生き生きしてて、すごく輝いてるよ」
朝食の準備をしていると、経済誌を読んでいた雄一がふいに言った。
ドキリとしてしまったのは、どうしてだろう。
今日は土曜日。土曜日は雄一は付き合いで出かけることが多いので、鞠香もバイトを入れていた。
「すごく楽しいよ。内装も素敵だし、料理が美味しいの」
「そうみたいだね、今度ランチミーティングに使わせてもらうよ」
「……うん」
朝食を終えて片付けをしていると、後ろから抱き締められた。うなじに唇が押しつけられる。
「……今……片付けてるから……」
「いいよ、そんなの。後でいい……」
エプロンを取られ、戸惑っているうちにボタンを外されたワンピースが肩からするりと床に落ちた。
「……ゴルフ行くんでしょ? 私も準備をしなくちゃ」
「いいから、な?」
ずっとなかった夫婦生活。
なのに、この前からまだ日があいていないのに求められて、戸惑いとともに軽い苛立ちを感じていた。
自分のものだから好きにして当たり前だという、
夫婦なら普通のことかもしれないことが、とても理不尽なことに思えた。
深いキスで肌にチクチクとあたる髭に、思わず顔をしかめてしまう。
この前も、今も、こんなふうに突然求められるようになったのは、独占欲なのか、確認なのか……。
支配されているようで、どうしても小さな反感を抱いてしまう……。
唇をねっとりと舐められ、トイレでのことが頭をよぎる。
ヌラヌラした舌が、乳首に絡み付くあの恐怖感……。
(嫌……やめて……)
それでも、拒否するわけにはいかず、震えてしまいそうになるのを必死で堪えた。
朝食の準備をしていると、経済誌を読んでいた雄一がふいに言った。
ドキリとしてしまったのは、どうしてだろう。
今日は土曜日。土曜日は雄一は付き合いで出かけることが多いので、鞠香もバイトを入れていた。
「すごく楽しいよ。内装も素敵だし、料理が美味しいの」
「そうみたいだね、今度ランチミーティングに使わせてもらうよ」
「……うん」
朝食を終えて片付けをしていると、後ろから抱き締められた。うなじに唇が押しつけられる。
「……今……片付けてるから……」
「いいよ、そんなの。後でいい……」
エプロンを取られ、戸惑っているうちにボタンを外されたワンピースが肩からするりと床に落ちた。
「……ゴルフ行くんでしょ? 私も準備をしなくちゃ」
「いいから、な?」
ずっとなかった夫婦生活。
なのに、この前からまだ日があいていないのに求められて、戸惑いとともに軽い苛立ちを感じていた。
自分のものだから好きにして当たり前だという、
夫婦なら普通のことかもしれないことが、とても理不尽なことに思えた。
深いキスで肌にチクチクとあたる髭に、思わず顔をしかめてしまう。
この前も、今も、こんなふうに突然求められるようになったのは、独占欲なのか、確認なのか……。
支配されているようで、どうしても小さな反感を抱いてしまう……。
唇をねっとりと舐められ、トイレでのことが頭をよぎる。
ヌラヌラした舌が、乳首に絡み付くあの恐怖感……。
(嫌……やめて……)
それでも、拒否するわけにはいかず、震えてしまいそうになるのを必死で堪えた。