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二重生活
第6章 義務と演技
ちゅくちゅくと乳首を口に含まれ、淫らな音がキッチンに響いていた。
先端をついばまれるたび、ツンとした刺激が、全身に放射状に広がって行くのを感じる。
脳髄が痺れて、体の奥が蕩けてしまう。


(ダメ……やめて……)
喉元まで出かかる声を、指先を噛んで必死に押し留めていた。

「もうこのまま挿れていい?」

前戯もなく、立ったまま後ろを向かされ、ズブリと突き立てられた。
膣が押し広げられる圧迫感、感触、指使い、すべてに鳥肌が立つような嫌悪感を覚えて、愕然とした。

(イヤ……イヤ…………)

それでも、突き上げられるうちに、滴り落ちるほどあそこが濡れてしまって……。

「あ……ンッ……やぁ……ンッ……ンッ……あ……んっ」

あられもない声をあげる鞠香に興奮したのか、激しく腰を打ち付けてくる雄一。

ずっと、こんなふうにして欲しかった。
激しく、強く、抱いてほしかった。
でも、それは以前のことだ。
今ではなくて、あの寂しかったたくさんの夜に……。


子宮に届くほど貫かれながら、背筋を舐めあげられ、乳首を摘ままれても、鞠香はどうしても達することができなかった。

それでも「気持ちいい?」と聞く雄一に「うん」と答え、イったふりをした。

鞠香の滲んだ涙を拭いながら、雄一は言った。


「愛してるよ」



鞠香は、力なく微笑んだ。
目を閉じた瞼の裏に映った、彗君の瞳に、恋焦がれながら。
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