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二重生活
第7章 rose
ソファーに移動して食べた、ローズの香りのチーズケーキは、香り豊かで、濃厚で、滑らかで、上品で優しくて。
とてもおいしかった。
まるで、彗君のキスみたい……。
「薔薇って、鞠香さんのイメージかも。赤いのじゃなくて、白くて、グリーンとかオレンジとかピンクがほんのり色づいてる感じの。ほら、テーブルに飾ってあったみたいな。あんなイメージ」
「ほんとに? ありがとう……。薔薇が一番好きなの」
「うん。似合う。あの薔薇はなんていう名前なの?」
鞠香は驚きをもって、彗君の顔を眺めた。
雄一は、薔薇の名前なんて一度も聞いたことがなかったから。
「花、綺麗だね」と言うことはあっても……。
鞠香は、アレンジメントの器を持ってソファーに座り、
「この薔薇は、ビジュードネージュ、雪の宝石っていう意味なんだって。名前も綺麗で好きなんだ。こっちのピンクがかってるのは、レフレーズ」
薄く、透明感のある花びらを撫でながら答える。
瑞々しい香りが立ち上った。
「この香り……。鞠香さんの香りだ。鞠香さんの香りはもっと、複雑にいい香りが混じり合ってるけど」
そう言って、髪に鼻を埋める彗君。
それは、爽やかで、優しい、自然な抱擁だった。
彗君こそ、いい匂い……。
彗君の肌の匂いは、心休まる日溜まりみたいで、それでいて色気を感じる彗君だけの匂いだ。
二人は、ソファーに横たわり、朝になるまでずっと寄り添い続けた。
テーブルから、薔薇たちの馨しい香りが降り注ぐ。
under the rose
『秘密裏に』
そんな意味が
薔薇にはある……。
とてもおいしかった。
まるで、彗君のキスみたい……。
「薔薇って、鞠香さんのイメージかも。赤いのじゃなくて、白くて、グリーンとかオレンジとかピンクがほんのり色づいてる感じの。ほら、テーブルに飾ってあったみたいな。あんなイメージ」
「ほんとに? ありがとう……。薔薇が一番好きなの」
「うん。似合う。あの薔薇はなんていう名前なの?」
鞠香は驚きをもって、彗君の顔を眺めた。
雄一は、薔薇の名前なんて一度も聞いたことがなかったから。
「花、綺麗だね」と言うことはあっても……。
鞠香は、アレンジメントの器を持ってソファーに座り、
「この薔薇は、ビジュードネージュ、雪の宝石っていう意味なんだって。名前も綺麗で好きなんだ。こっちのピンクがかってるのは、レフレーズ」
薄く、透明感のある花びらを撫でながら答える。
瑞々しい香りが立ち上った。
「この香り……。鞠香さんの香りだ。鞠香さんの香りはもっと、複雑にいい香りが混じり合ってるけど」
そう言って、髪に鼻を埋める彗君。
それは、爽やかで、優しい、自然な抱擁だった。
彗君こそ、いい匂い……。
彗君の肌の匂いは、心休まる日溜まりみたいで、それでいて色気を感じる彗君だけの匂いだ。
二人は、ソファーに横たわり、朝になるまでずっと寄り添い続けた。
テーブルから、薔薇たちの馨しい香りが降り注ぐ。
under the rose
『秘密裏に』
そんな意味が
薔薇にはある……。