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二重生活
第8章 春風
枝ぶりの立派な桜の下に、総勢20人ほどが集まった。
それも、ほとんどが20代前半のオシャレな子たちの、とても華やかなグループ。
そこここで「ひさしぶり」「元気?」と挨拶する声があがる。
鞠香は、今日は年長者として楽しい花見のサポートに徹することにした。
テーブルに紙コップを並べたり、荷物を綺麗に整頓して並べていると、スッと隣に男の子が近寄ってきた。
「はじめまして」
顔を見てピンとくる。リョウ君だ。
たしかに、俳優としてでも、アイドルとしてでも今すぐ通用しそうなルックスだった。
警戒しながら挨拶すると、リョウ君は首をかしげながら、「このピアス、可愛い」そう言って鞠香の耳たぶに触れた。
思いがけないことに、体がビクンと震える。
リョウ君は「敏感なんだね、可愛い」妖しく笑って言った。
事前に彩名ちゃんに聞いていなかったら、かなり驚いていただろう。
だけど鞠香は、
「耳たぶは、誰でも敏感だよ? あ、直人君のほうがいいリアクションしてくれると思うよ」
にっこりと笑って、その場を離れた。
クーラーボックスに氷をいれていると、彗君がきて手伝ってくれた。
雪合戦みたいに小さな氷の破片を投げてくるから、投げ返して……はしゃぎながら笑いあう。
それは、鞠香の心からの笑顔だった。
そして、そんな笑顔を見つめる視線……。
和やかに始まった花見で、春の嵐が吹き荒れることになる。
それも、ほとんどが20代前半のオシャレな子たちの、とても華やかなグループ。
そこここで「ひさしぶり」「元気?」と挨拶する声があがる。
鞠香は、今日は年長者として楽しい花見のサポートに徹することにした。
テーブルに紙コップを並べたり、荷物を綺麗に整頓して並べていると、スッと隣に男の子が近寄ってきた。
「はじめまして」
顔を見てピンとくる。リョウ君だ。
たしかに、俳優としてでも、アイドルとしてでも今すぐ通用しそうなルックスだった。
警戒しながら挨拶すると、リョウ君は首をかしげながら、「このピアス、可愛い」そう言って鞠香の耳たぶに触れた。
思いがけないことに、体がビクンと震える。
リョウ君は「敏感なんだね、可愛い」妖しく笑って言った。
事前に彩名ちゃんに聞いていなかったら、かなり驚いていただろう。
だけど鞠香は、
「耳たぶは、誰でも敏感だよ? あ、直人君のほうがいいリアクションしてくれると思うよ」
にっこりと笑って、その場を離れた。
クーラーボックスに氷をいれていると、彗君がきて手伝ってくれた。
雪合戦みたいに小さな氷の破片を投げてくるから、投げ返して……はしゃぎながら笑いあう。
それは、鞠香の心からの笑顔だった。
そして、そんな笑顔を見つめる視線……。
和やかに始まった花見で、春の嵐が吹き荒れることになる。