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二重生活
第12章 cherry blossom
一つの生命体のように、抱き合って呼吸をしていた。
あのあと、何度もうとうとしては、何度も求めあった。
それなのに、まだ、身体の芯はとろとろに蕩け、濡れそぼっていた。
ペタペタくっつく肌は全然不快ではなく、匂いも、体温も、心地よかった。
ぎゅっと抱き締められて、抱き締めかえす。
そんなことを繰り返し、「あっちー!」ついに彗君がギブアップして、笑いながら窓を大きく開けた。
甘い香りのする風と、桜の花弁が舞い込んでくる。
花弁を指先で摘まむと、しっとりと潤いが伝わってきた。
「彗君……。私、彗君とお花見がしたいな」
「今から行く? ……でも、もーちょっとだけ抱き締めてからね」
そう言って寄り添い、後ろからの抱擁を受けながら、紺色の空を眺めていた。
彗君と知り合わなければ、ここへ来ることも、この四角く切り取られた空を見ることも、
こんなに幸せな時間を知ることもなかった……。
入り口に残る甘い痛みが、たまらなく愛しくて、抱き締めてくれる腕に頬擦りをする。
産毛が優しく頬を撫でて、胸に甘い痛みが走る。
「ん、なんか心臓、痛て……」
「私も痛いよ?」
…………彗君も、
同じなのかな?
同じだったらいいな……
体を向き合わせ、そっとキスをした。
桜の花弁のように、柔らかくて潤った形のいい唇。
クールで色っぽい表情が、片えくぼができる人懐っこい笑顔に変わる。
「初めて鞠香さんからしてくれたね」
一際強く抱き締めながら、彗君が優しく微笑む。
「よし! じゃー花見行こっか。夜のピクニック」
あのあと、何度もうとうとしては、何度も求めあった。
それなのに、まだ、身体の芯はとろとろに蕩け、濡れそぼっていた。
ペタペタくっつく肌は全然不快ではなく、匂いも、体温も、心地よかった。
ぎゅっと抱き締められて、抱き締めかえす。
そんなことを繰り返し、「あっちー!」ついに彗君がギブアップして、笑いながら窓を大きく開けた。
甘い香りのする風と、桜の花弁が舞い込んでくる。
花弁を指先で摘まむと、しっとりと潤いが伝わってきた。
「彗君……。私、彗君とお花見がしたいな」
「今から行く? ……でも、もーちょっとだけ抱き締めてからね」
そう言って寄り添い、後ろからの抱擁を受けながら、紺色の空を眺めていた。
彗君と知り合わなければ、ここへ来ることも、この四角く切り取られた空を見ることも、
こんなに幸せな時間を知ることもなかった……。
入り口に残る甘い痛みが、たまらなく愛しくて、抱き締めてくれる腕に頬擦りをする。
産毛が優しく頬を撫でて、胸に甘い痛みが走る。
「ん、なんか心臓、痛て……」
「私も痛いよ?」
…………彗君も、
同じなのかな?
同じだったらいいな……
体を向き合わせ、そっとキスをした。
桜の花弁のように、柔らかくて潤った形のいい唇。
クールで色っぽい表情が、片えくぼができる人懐っこい笑顔に変わる。
「初めて鞠香さんからしてくれたね」
一際強く抱き締めながら、彗君が優しく微笑む。
「よし! じゃー花見行こっか。夜のピクニック」