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華のしずく~あなた色に染められて~
第5章 【華のしずく】~永久(とこしえ)~
「これを遣わそう」
 珠々は眼を見開いて、手のひらに載せられた小箱を見つめた。その品は朱塗りの小物入れであった。蓋の部分に精緻な蒔絵が施されている。二匹のつがいの蝶が寄り添い合うようにして戯れ飛んでいる様を描いているようである。二匹の蝶は黒揚羽と黄揚羽であった。
「我が母の形見じゃ」
 秀吉が淡々と言い、珠々の顔を見た。
「―」
 珠々は意外な成り行きに、言葉もない。
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