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華のしずく~あなた色に染められて~
第6章 雪の華~華のしずく~
この初対面のときの信晴への印象は鮮烈に徳姫の中に灼きつけられることになった。朱雀の城に到着して数日後には信晴と徳姫の華燭の典が盛大にとり行われ、若い二人は晴れて夫婦となったが、信晴の新妻への態度は始終変わることはなかった。
初めての夜、新妻と床入りするはずの良人は、ついに寝所に姿を見せることはなく、徳姫は真新しい絹の夜具の傍らで小刻みに身を慄わせながら一晩中を過ごしたのである。朝方、東の空が白み始める頃になっても、信晴は来なかった。
初めての夜、新妻と床入りするはずの良人は、ついに寝所に姿を見せることはなく、徳姫は真新しい絹の夜具の傍らで小刻みに身を慄わせながら一晩中を過ごしたのである。朝方、東の空が白み始める頃になっても、信晴は来なかった。