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華のしずく~あなた色に染められて~
第6章 雪の華~華のしずく~
―信晴さまは私のことをお嫌いなのだ―。
辿り着いた結論は、それしかないように思えた。乳母の柏木をはじめ、青龍の国からも心利いた侍女が数人は入輿に付き従い、呼べばすぐにでも駆けつけてくれる。しかし、遠い異郷にあって、最も頼りとするべき存在は他ならぬ良人、信晴その人であった。その良人に疎まれ、遠ざけられた徳姫はこれから先、敵地とも言えるこの朱雀の城でただ一人、形だけの妻として空しく日々を重ねてゆくことになるのだろう。