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華のしずく~あなた色に染められて~
第6章 雪の華~華のしずく~
徳姫の形良き眼からひとすじの涙が糸を引いて流れ落ちた。ただただ涙だけが溢れ出てきて、止めようにも止まらない。
静まり返っていた奥御殿も朝を迎えて、そろそろ人のざわめきが聞こえ始めている。侍女たちが起き出したに違いない。徳姫が指先で涙を拭ったその時、襖の外側から遠慮がちに声がかけられた。
「姫さま、おめざめでいらっしゃいますか」
乳母の柏木の声だった。返事もできないでいると、襖が細く開き、柏木がそっと顔を覗かせた。
静まり返っていた奥御殿も朝を迎えて、そろそろ人のざわめきが聞こえ始めている。侍女たちが起き出したに違いない。徳姫が指先で涙を拭ったその時、襖の外側から遠慮がちに声がかけられた。
「姫さま、おめざめでいらっしゃいますか」
乳母の柏木の声だった。返事もできないでいると、襖が細く開き、柏木がそっと顔を覗かせた。