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第22章 其の壱～飛花～

　やがて、〝殿ッ〟という声と共に、時治が寝所に駆け込んできた。この時、既に秀吉は殆どの兵を切り倒し、残すところあと一人となっていた。敵兵の返り血を全身に浴びて立つ秀吉の姿は凄絶な美しさを身にまとっている。
「殿、どうかここは私にお任せ下さりませ。この時治、たとえ何にかえましても、お屋形様のご最期を何人にも邪魔などさせませぬ」
　時治が決意の込もった眼できりりと言うと、秀吉は頷いた。