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The altar of a sacrifice
第2章 漆黒の夜に咲く悲鳴
部屋を出るとそこは一変していた。
真っ暗になっているのだ。
まぁ、日没は過ぎているので当然だが、それにしても普通に歩くのに不自由な程暗い。
なるほど、これならばお化け屋敷の異名も頷ける。
公秋さんも鈴音も普段こんな状況で生活しているのだろうか?
辺りの大部分が闇に呑まれていて、灯火の下がった部分だけが明るく煌々としている。
バロックらしい明暗のコントラスト。
廊下の彫刻や石像は影を落とした方が美しくもあり、同時に不気味だった。
遠くにまだヴァイオリンの音が微かに聴こえる。
正直、入り口から部屋までの経路も公秋さんの背中を追うだけだったので、対して記憶していない。
その上この暗さじゃ、音を頼りに進んだ方が良さそうだ。
俺は精一杯耳を澄ませた。
「ふっ…、ふははははは」
澄ませた耳をつんざく様な男の高らかな笑い声が、まるで建物中に響いたようだった。
公秋さん?
そして続く女性の悲鳴。
鈴音か?
何なんだよこの屋敷!!
怪しい黒フードの奴といい、住人といい、異常じゃないか。
俺は駆け出した。
もちろんヴァイオリンではなく、悲鳴の聞こえた方へ。
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