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The altar of a sacrifice
第2章 漆黒の夜に咲く悲鳴
それはユラユラと揺れながら進んでおり、それもひとつではなくいくつもが列をなしているようだった。
一番に『火の玉』と名が浮かんだが、洋館に火の玉では何だかあべこべだ。
ここは洋風のモンスターでなくては…と冷静に考えている俺がいる。
やがてそれらが近付いて来ると、一緒に音楽も聞こえて来た。
ヴァイオリンの音だ。
よくよく目を凝らすと、手に手に灯りを持った十数名程の黒いフードの者たちに続いて弾き手が歩いている。
人々はゆっくりと、でも着実にこの館を目指して歩を進めているようだった。
…は?
ここに何の用だよ。
いかにもな如何わしい集団が…。
俺は慌てて部屋から飛び出した。
あいつらの正体をつきとめてやる。
他の何よりも好奇心が勝った瞬間だった。
「今日のうちはこの部屋から外に出ない方が良いと思うよ」
そういえばそんな事を公秋さんに言われていたのだが、この時の俺はそんな事などとうに忘れていた。
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