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The altar of a sacrifice
第3章 深紅に濡れる祭壇
なんだか場違いなところへ来た。
真っ暗な広い場所。
湿った空気。
部屋のいたるところに燭台が置かれ、淡い揺れるオレンジ色に染められた明かりに照らされている。
床にはなんだか分からない魔方陣の様なものが描かれているし、大きな祭壇には逆十字が架けられて、いかにもなオカルトオーラを放っている。
俺は腕を鈴音に引かれ、背を美來と琉生に押されてその祭壇の前へと連れられた。
祭壇の前にはすでに人影がある。
「…我が君、ヘレル・ベン・サハル…。またの名をルシファー。最高位の天使でありながら堕天した者…、我が願いを聞き届けてくださるならば、どうぞこの手にその御手を…」
ブツブツと何かを呟くその声は異様な興奮を持って揺れている。
その後ろ姿から伸びる影が燭台の炎に合わせて踊るのが、なんとも気味悪く見える。
「連れて来たよ、公秋…」
死刑宣告を受けるかの如く、鈴音の声が低く響いた。
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