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第10章 思惑

｢突然ご免なさい。
私の事、知っているわよね!?｣


｢はい…知ってます｣


｢時間も無いから率直に聞くけど、どうして私の個人的な事を課長に教えたのかしら？｣


強気で話していても足が震える。
でも、怒りで一杯だった事も事実だった。


｢私と課長は、一年も前から…そ、その…付き合いで。でも突然課長が…水島さんの事を好きだとか言い出したから…私…つい…｣


｢つい、って！
触れられたく無い事を人に話すなんて…最低ね。｣


｢ごめんなさい、でも…若い女より熟女が魅力的だなんて何時も言ってたから…私と別れて水島さんと付き合うことに耐えられなかったんです。｣


｢課長にその事をネタに関係を迫られてるのよ。
お金を出すからと！｣


｢そんな…――｣


彼女の顔が歪んで泣きそうになる。


彼女は課長と私が一度関係した事をまだ知らないらしい。
それを言う必要も無い