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透明な部屋
第5章 石丸琴音の部屋 5/21(水)
朝、エレベーターに乗ったら、先に二人の女性が乗っていた。
ひとりは、ちょっときつい感じのキャリアウーマンっぽいお姉さん。
もうひとりは小太りのおばさんだった。
「あー、暑いですね」
おばさんが独り言のように呟く。
「最近は暑くなるのが早いですからね」
お姉さんが当たり障りのないことを言った。
けど、化粧をしたキレイな顔からは、明らかに違うニュアンスが含まれていた。
『どんなに化粧をしても、誤魔化せないものがあるよね』
私は、こんな当たり前なことを思った。
そんなことを考えていたら、エレベーターが1階に着いた。
扉が開いて、「失礼します」と先に降りたのはおばさんだった。
お姉さんが次に降りて、最後に降りたのは私。
でも、ほとんど同時に降りた私たち三人は、ちょうど並び立つようにエントランスを歩いた。
「皆さん、おはようございます」
管理人の権藤さんが、私たち三人に向かって挨拶をする。
権藤さんは、どうやらエントランスを掃除していたようだった。
これくらい大きいマンションだったら、管理人さんが掃除なんかしないで、清掃会社でも入れればいいのにと、いつも思う。
「おはようございます」
三人一緒に権藤さんに挨拶する。
そして、権藤さんに挨拶をしてエントランスを出る。
『あー、今日も権藤さん、イヤらしい目で見てた』
挨拶をした時に胸を、エントランスを出た時に、見送るフリをしながらお尻を……。
今日は他にも女性がいたから、この前よりは視線が分散した気がしたけど、やっぱりイヤらしい視線で見ていることには変わりない。
『権藤さんからしたら、私なんて孫みたいなものなのに……』
そう思いながら、私は大学に向かった。
ひとりは、ちょっときつい感じのキャリアウーマンっぽいお姉さん。
もうひとりは小太りのおばさんだった。
「あー、暑いですね」
おばさんが独り言のように呟く。
「最近は暑くなるのが早いですからね」
お姉さんが当たり障りのないことを言った。
けど、化粧をしたキレイな顔からは、明らかに違うニュアンスが含まれていた。
『どんなに化粧をしても、誤魔化せないものがあるよね』
私は、こんな当たり前なことを思った。
そんなことを考えていたら、エレベーターが1階に着いた。
扉が開いて、「失礼します」と先に降りたのはおばさんだった。
お姉さんが次に降りて、最後に降りたのは私。
でも、ほとんど同時に降りた私たち三人は、ちょうど並び立つようにエントランスを歩いた。
「皆さん、おはようございます」
管理人の権藤さんが、私たち三人に向かって挨拶をする。
権藤さんは、どうやらエントランスを掃除していたようだった。
これくらい大きいマンションだったら、管理人さんが掃除なんかしないで、清掃会社でも入れればいいのにと、いつも思う。
「おはようございます」
三人一緒に権藤さんに挨拶する。
そして、権藤さんに挨拶をしてエントランスを出る。
『あー、今日も権藤さん、イヤらしい目で見てた』
挨拶をした時に胸を、エントランスを出た時に、見送るフリをしながらお尻を……。
今日は他にも女性がいたから、この前よりは視線が分散した気がしたけど、やっぱりイヤらしい視線で見ていることには変わりない。
『権藤さんからしたら、私なんて孫みたいなものなのに……』
そう思いながら、私は大学に向かった。

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