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御朱印女と怪談男
第4章 語らい、酔っぱらい
☆☆☆
「あ・・・なんだ、今日は色々ありがとな・・・」
西武秩父駅。彼と私は乗る電車が違う。
彼は鈍行で、私は特急で帰ることにしていた。
私の特急のほうが早く出るので、ここでさよならだった。
「ありがとうって?ああ、ペイペイ?」
「ま、それもあるけど・・・神社のこととか、話、勉強になったわ」
なんだ、勉強になった・・・か・・・
「そう・・・。あ、私もお礼言わなきゃ。あの、御朱印帳拾ってくれてありがとう」
あんとき、ちょっとかっこいいって思ったんだけどなあ。
「あ、ああ・・・もう落とすなよ」
「はいはい」
特急の出発準備ができたというアナウンス。扉が開く、空気の抜けるような音がホームに響いてきた。
「気を付けてな」
「あなたも」
バイバイ
バイバイ・・・
互いに手を振りあった。
私は特急券を片手に、電車に乗り込む。
西武特急『ラビュー』は、足元までの大きな窓が特徴の電車だ。夜の町並みがびゅんびゅん後ろに流れていく様子がよく見えるだろう。
ちらりと窓から外を見ると、「怪談男」がまだ私の方を見ていた。
三峯神社の・・・御利益あったのかな?
少なくとも、今日は一日、とても楽しかった。
思い出してみる。
出会いの時・・・実話怪談の本を読んでいた・・・なんて、ほんの些細なきっかけだったな。
縁結びの木の下で、御朱印帳拾ってもらって。
現金持ってなくて、お金払えない準備の悪い人で。
怪談の話、思いっきりできて。
私の話、楽しそうに聞いてくれて。
ラビューが動き出す。駅舎がゆっくりと後ろに流れていく。あっという間に窓の外は暗い夜の闇に満たされていった。
言えなかったけど、もし、私が書いてる小説のこと言ったら・・・?
「怪談男」は、どんな顔をしただろう?
なんだ、結局、名前も聞けやしなかった。
この辺が、私のだめなところだよな。せっかく勇気出して、秩父神社まで付き合ってもらったのに・・・
きっと友達のえっちゃんに言ったら『押せ!』って言われんだろうな。
夜の車窓。時折私の顔が映る。
それは、ちょっと満足げでもあるけど、やっぱりどこかさみしげだ。
連絡先とか聞けたら良かった。
でも、そんなん聞けたら、今頃『地味子』なんてしてない。
「あ・・・なんだ、今日は色々ありがとな・・・」
西武秩父駅。彼と私は乗る電車が違う。
彼は鈍行で、私は特急で帰ることにしていた。
私の特急のほうが早く出るので、ここでさよならだった。
「ありがとうって?ああ、ペイペイ?」
「ま、それもあるけど・・・神社のこととか、話、勉強になったわ」
なんだ、勉強になった・・・か・・・
「そう・・・。あ、私もお礼言わなきゃ。あの、御朱印帳拾ってくれてありがとう」
あんとき、ちょっとかっこいいって思ったんだけどなあ。
「あ、ああ・・・もう落とすなよ」
「はいはい」
特急の出発準備ができたというアナウンス。扉が開く、空気の抜けるような音がホームに響いてきた。
「気を付けてな」
「あなたも」
バイバイ
バイバイ・・・
互いに手を振りあった。
私は特急券を片手に、電車に乗り込む。
西武特急『ラビュー』は、足元までの大きな窓が特徴の電車だ。夜の町並みがびゅんびゅん後ろに流れていく様子がよく見えるだろう。
ちらりと窓から外を見ると、「怪談男」がまだ私の方を見ていた。
三峯神社の・・・御利益あったのかな?
少なくとも、今日は一日、とても楽しかった。
思い出してみる。
出会いの時・・・実話怪談の本を読んでいた・・・なんて、ほんの些細なきっかけだったな。
縁結びの木の下で、御朱印帳拾ってもらって。
現金持ってなくて、お金払えない準備の悪い人で。
怪談の話、思いっきりできて。
私の話、楽しそうに聞いてくれて。
ラビューが動き出す。駅舎がゆっくりと後ろに流れていく。あっという間に窓の外は暗い夜の闇に満たされていった。
言えなかったけど、もし、私が書いてる小説のこと言ったら・・・?
「怪談男」は、どんな顔をしただろう?
なんだ、結局、名前も聞けやしなかった。
この辺が、私のだめなところだよな。せっかく勇気出して、秩父神社まで付き合ってもらったのに・・・
きっと友達のえっちゃんに言ったら『押せ!』って言われんだろうな。
夜の車窓。時折私の顔が映る。
それは、ちょっと満足げでもあるけど、やっぱりどこかさみしげだ。
連絡先とか聞けたら良かった。
でも、そんなん聞けたら、今頃『地味子』なんてしてない。

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