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御朱印女と怪談男
第4章 語らい、酔っぱらい
もう、三峯神社に来ることもない、と言っていた。きっと、これで一生会うことはない。それはなんだかひどくもったいないことをしたような・・・そんな気がした。

あーあ・・・せめて名前だけでも聞けばよかった。
ね・・・このままじゃ私の思い出の中であなたはずっと「怪談男」だよ・・・

はあ・・・

ま、しょうがない。これが私だ。
そんなふうに思ってスマホを取り出す。

この電車の後、どうやって帰るか、帰り道を検索するため・・・だった。

いつものクセで溜まった通知をぱっぱと処理していく。その中のひとつ。ついスワイプしてしまった通知に私は「あ!」と思った。

何?今の!?
ペイペイ??

慌てて、ペイペイアプリを開くと、そこには彼からのメッセージがあった。
そう、ペイペイアプリは送金だけではなく、ラインのようなメッセージ機能もあるのだ。

「今日は、ありがとう。
 名前、聞くの忘れた。
 オレは岸田素直(きしだ すなお)」

それがメッセージだった。

何が、素直だ・・・素直なら、さっさと顔見てるときに言えよ。
いや・・・それはお互い様か・・・。

「ありがとう
 私は軽部ゆら(かるべ ゆら)」

→送信、と

「あーなんだ、
 神社に来た理由な。
 縁結びのためだ」

彼からのメッセージを受信

ちょっと考えて、
「そうだったんだ」
そう打って、少し悩んで・・・
「で?」
と書き足した。

→送信

その後、5分くらい沈黙の時間があって、メッセージが来た。

「叶った・・・かも」

ラビューの大きな窓にきらめく街の夜景が流れていく。
早くも特急は飯能を過ぎていた。

私は、きゅっとスマホを抱きしめた。
胸があったかかったのは、きっと、お酒を飲んだから、だけではない。

そう思うのだ。
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