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Night BAR
第3章 勇気
「いっ…!」

痛さに顔を歪める私。

「こんなに愛してんのによ…。」

そう言われて私は目を閉じた。

「なんでだよおお!!」


ぶたれる…。


パシッ。


え…?


頬に感じない痛みに疑問を抱き

ゆっくりと目を開ける。



「サキさん…!?」


そこには、

大雅の腕首をしっかり掴んで離さない

さっきのバーテンダーが私服姿で立っていた。


何が起こったのかわからず

私はただ立ち尽くす。


「あんた、

この子のなんなんだい?

彼氏とでも言うんじゃないだろうね?」


そう言って睨みをきかすサキさん。

さっきのBARでの笑顔とは

うってかわって

メラメラとした殺気に

私自身も身震いするほどだ。



「誰だお前?

俺はこいつの列記とした彼氏だよ。

今恋人同士の

大事な話し合いの途中でね。

あんたには関係がないことなんだ。

分かったらとっとと離せ。」


負け時と対抗する大雅。


それに対してサキさんはあざ笑う。


「はは、

笑わせてくれるわね〜。

分からないわよ。

恋人同士の話し合いに

暴力って必要なのかしら?

それでもあんた、男?

ちゃんと生えてるわけ?

分からないわ、

まったく分からない。」


そういって呆れた表情をして見せる。


「あんたに言われたくないんだけど。」


「あら?」


「とりあえず、離せ」


そういって、大雅は腕を振り払った。


「お前なんなんだよ。」


大雅は尚もサキさんを睨み続ける。

そしてサキさんも鋭い視線を送り続ける。


「あたし?

あたしはね、このこと知り合いなの。

大事なお客さんを傷つけられちゃ

困るからちょっと借りるわね。」


そういって私の手を引くサキさん。


「え?」


私はどうすることもできず

ただ素直にサキさんについて歩いた。


「おい!なにしやがんだ!」

大雅が、

食ってかかろうとすると


「消えろ。」


冷血な眼差しと

一言に圧倒されたか、

大雅は怯んだ。


「実咲!!」


私の名前を呼ぶが、

私は振り返るやいなや

すぐにまっすぐに向き直り

二度と振り返ることなく、

サキさんと共に

歩いた。



大雅は大分ショックだったのだろう。


追ってくることも、

私を呼ぶこともなかった。






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