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御朱印女と怪談男〜にさつめっ☆〜
第5章 別れのホームと初めての・・・
「あの・・・出張から帰ったら・・・
 その・・・も、もう一度、会って・・・
 いや、デートして・・・くれ・・・ますか?」

それほど大きな声ではなかった。途切れがちで、いつもの私なら、周囲の喧騒に紛れてしまい、聞き落としていたかもしれないくらいの声だった。

でも・・・
その時、東京駅の喧騒が、すっと、どこかに遠のいてしまったかのようだった。

デート・・・

真剣な目、掠れながらも一生懸命に伝えようとしてくれているのが分かる口ぶり。
その言葉は、素直に私の心に染み込んできた。

そして、それは一瞬で熱に変わり、私の心臓をドキンと別の意味で震わせた。

「う・・・うん」

私は頷く。
それを見て、彼は安心したみたいににこりと笑った。

「ありがとう・・・じゃあ、また、連絡する」

そう言って、踵を返す。その先には、新幹線のホームに昇るエスカレーターがある。

発車時刻まであと、5分・・・

ドキン、ドキンと心臓が早鐘のように打っていた。手足は緊張して氷みたいに冷たいのに、頭の中だけが沸騰しそうなほどに熱い。
なにかしなきゃ、なにか言わなきゃ・・・そんな思いだけが空回りしていた。

なんだろう、なんだろうこの気持ち。
『また』って・・・『また』なんて・・・
そんな・・・いつまで待てばいいの!?

くるくる回る気持ち。
胸の奥からの渇望に似た思い。

待って、ちょっと待って・・・こんな気持のまま置いてかないでっ。

「待って!」

そんな思いが溢れて、私は声を上げていた。その声で、彼は立ち止まる。

「待って」

もう一度言った私が柵に駆け寄ると、彼も足早にそこまで来てくれた。
思わず駆け寄ったが、そこにきて何をしようと思ったわけではなかった。
ただ、とにかく、近づきたくて、傍に行きたかった。

柵を隔てて、向かい合う私たち。
ふたり、どちらからともなく、身体が惹かれ合っていく。
彼の腕が私の頭を抱き寄せる。私もまた、彼の身体に腕を回していた。

惹かれ合って、見つめ合って・・・そして・・・
・・・唇がそっと触れ合った。

あと・・・4分・・・。
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