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御朱印女と怪談男〜にさつめっ☆〜
第7章 名前呼びとすれ違い
今なら、言えるんじゃないか・・・
そう思ったのだ

だから、ぐっと拳を握って、彼の方を見た・・・『ねえ、名前で呼んでほしいんだよね』・・・そう言え、ゆら!そう思った。

しかし、やっぱり恥ずかしくなってしまって顔をそらしてしまったのだ。

あああ・・・ダメだ・・・
どうでもいい話ならいっぱいできるのに。肝心のこういう関係を深めるような言葉はやっぱり言えない。

喪女歴35年は伊達じゃない。

このままじゃまずいと焦っていた私は、レストランに到着した時、飲み放題があると聞いて、『これだ』と思った。前の時もお酒の力を借りてちょっと言いにくいことも言えたではないか。だから今回も・・・。そう思って、彼からメニューを示された時『飲み放題もつけて』と言った。

でも言った瞬間、後悔した。

彼がちょっと引いたようなリアクションをしたからだ。
もしかして、大酒飲みの酒乱だと誤解された・・・?

取り消そうと思ったが時すでに遅し。『まあいいんじゃないですか』という彼の言葉で、結局、注文は『飲み放題付き』になってしまった。

しょうがない。
こうなったら、逆に飲まなければ損である。

比較的飲みやすい桂花陳酒から始まり、杏露酒のソーダ割り、それから更にジンジャーハイボールを頼む。ジンジャーハイボールが2杯目になったくらいで、ちゃんぽんしすぎてしまっていた私は、何をどのくらい飲んでいるのか訳が分からなくなってしまっていた。

更に言えば、シメのチャーハンが来たあたりで、そろそろ言わないデートが終わってしまうという焦りも相まって、ピッチがますます上がってしまっていたように思う。

チラチラと彼の顔を見る。
でも言えない・・・お酒を飲む。
また、見る、言えない。
お酒を注文する・・・飲む。

そんなことを繰り返していた。

だが、その時、私はふと気付いたのだ。
彼もまた、私に何かを言いたそうにしているようだった。
その目には、何かを決心したような色が見え隠れしていた。

これは・・・もしかして!?
『今から俺達、ゆら、素直って呼び合うことにしませんか?』
そんな風に言ってくれようとしているのか・・・?

もしそうなら、私が清水の舞台どころか、スカイツリーから飛び降りるほどの勇気を出さなくてもいいのでは・・・?
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