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乳牛メイドのホルスタイン あの、かけがえのない日々のこと
第6章 第5話 幸せの時
 その後は2人で砂浜に腰掛けて軽食と飲み物を味わって、もう一度だけ海水に入って遊んでから私は坊ちゃまと砂浜を後にした。

 更衣室で水着から外出着に着替え、私と坊ちゃまは海岸線に建てられた旅館に入って宿泊手続きをした。

 この沿岸の都市でも亜人や半亜人の宿泊を敬遠する旅館はあるけれど坊ちゃまが事前に調べてくれたこの旅館は経営陣に亜人がいることもあって私のような半亜人も積極的に受け入れていて、旅館の通路には亜人同士の連れ合いの姿さえも見かけた。


「それではごゆっくりおくつろぎくださいませ。ご夫婦ですか?」
「いえ、私は……」
「夫婦のようなものです。ね、ホルスタイン?」

 受付で宿泊手続きを対応してくれた恰幅のいい中年女性の職員は外見上同い年ぐらいに見える私と坊ちゃまを見て何気なく尋ねて、坊ちゃまが44歳の私の夫と思われるのを避けようとした私に坊ちゃまは私の肩に右腕を回して笑顔でそう言った。

 今この旅館に日頃の知り合いなどいるはずがないということに私は今更気づいて、今日だけは遠慮せずに坊ちゃまの恋人として振る舞おうと心に決めた。


 夕食まではまだ時間があるのでそれまで部屋でゆっくり休むことにして、私と坊ちゃまはそれぞれの荷物が入った合成樹脂で作られた車輪付きの収納箱を客室の隅に置いた。

 一旦部屋着に着替えようかと考えた私だけど、客室の中央にある低い机の上には茜色と紺色の羽織物のような衣類が畳まれて置かれていた。
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