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夜来香 〜若叔母と甥、禁忌の果て〜(改訂版)
第16章 アトリエ
「なんでって…藤沢くんは制服姿の私を描こうとしたんですよね?……だったらこの格好の方がいいかと思ったんです……」
「それはこの前は学校だったから…」
先輩の足許は着替える前のルームシューズのままだった。
壁際の棚へと近づいていく。
「確かここに……ありました……これで完成ですよ……」
手にしているのはローファー。
ルームシューズからローファーに履き替えると…
「構図はどうしましょうか?……さっきのデッサンみたいに斜め後ろからがいいですか?……」
先輩はどこに立とうかとキョロキョロしている。
「ま、待ってください……僕はまだ部長を描くとは一言も…」
板張りの床にローファーのコツコツとした音が鳴る。
先輩が目の前に来てしゃがみ込んだ。
覗き込まれるように見上げてくる。
「もう考える時間なんてありませんよ……私は相談にのると言いましたよね……結果、私が藤沢くんのモデルになるという答えを導いたんです……藤沢くんは私がモデルでは不足なんですか?……」
【そんな言い方…ズルいですよ…】
陽翔はなかなか答えられなかった。
「困りましたね…私は藤沢くんの人物画が観たい…もう文化祭までそんなに時間はありません……モデルになろうと着替えまでして来ました……何をぐずぐずと考える必要があるのでしょう……」
【ほんとにズルいですよ…部長……】
目の前にしゃがみ込む先輩の表情はなんだか楽しそうだ。
ブラウスのボタンは二つ外れている。
白い肌が見えて、膨らみの影が覗いていた。
しゃがんだ膝はぴたりと閉じられていて、でもずれたスカートの裾がその奥の影を妖しく作っていた。
トクン…と鼓動を打つ音に戸惑った。
【こんなに綺麗な人を僕が描けるんだろうか…】
先輩は急かしたりしないけど瞳は、どうするの?…と訴えている。
「先ずはデッサンさせてください……それで描けると思ったらでいいですか?…」
陽翔が呟くように言うと、先輩はにっこりと微笑んで立ち上がった。
「大丈夫ですよ…私が見込んだんです……絶対にいい絵に仕上がります……どこがいいですか?……うーん、悩みますね……」
はしゃぐように先輩はまたアトリエを見渡し、ご満悦といった表情でまた微笑みかけてきて…。

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