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夜来香 〜若叔母と甥、禁忌の果て〜(改訂版)
第16章 アトリエ

「ありがとう…」

礼を言った彼が自ら拭うのを眺めながら、栞はベッドに腰かけた。

【私がしてあげた方がよかったかな……】

処理を終えた彼が背後に座り込んできた。
彼の脚の間に挟まれると腰には硬いままのが当たってくる。

「なんか照れるね…陽翔くん…あ、ごめんなさい…勝手に名前呼びしてた…いや…かな?……」

陽翔は自然と背後から先輩を抱いていた。
先輩は前を向いたまま、お腹に巻きつけた腕に手を置いている。

「僕が栞って呼んでるのに?…それより、学校ではこれまで通りの方がいいのかな?…」

今日だけのことなのに、何を言ってるんだろうと陽翔は思った。

「そうですね…名前で呼び合うのはここだけっていうか…二人きりの時だけにしましょう……」

「栞、また敬語に戻ってる…」

彼女は照れくさそうに振り向いてきた。

「だって…私にはそれが普通なの……陽翔くんと一緒にいる時が特別なんだから……」

そんな先輩を素直に可愛いと思った。

「じゃ、学校じゃ森宮部長っことで…」

「私も藤沢くんって呼ぶから……」

【あれ?…今…二人きりの時って言わなかったっけ?…】

「ねぇ、ひとつ確認していい?…」

「なに?……」

「えっと…ここだけでとか…二人きりの時だけとか……その…僕達って……」

「私を彼女にしてくれる?……」

陽翔はドキッとして、固まってしまった。  きっと困った顔をしてしまったんだと思う。

「冗談だよ……ねぇ、陽翔くん…美大を目指して……私と同じ大学に入りなさい……」

先輩は真剣な眼差しでそう告げた。

「そんな…僕なんかが……」

「聞いてるよ…陽翔くん勉強できるんだってね……そのまま頑張りなさい……それから…これからもここに通うの……けっこうあるんだよ…この家、誰もいない時…その時はここに来て私を描くの……絵のことは私が教えてあげるから…いい?……」

【僕が美大に…栞と同じ大学に……】

母が美大に行けば?…などと言い出して叔母の家庭教師が始まった。
でも、そんなこと真剣に考えたことはなかった。

「文化祭の絵だけじゃなくて…その先もここで?…」

「そうよ…嫌なの?……」

抱き合ったまま、先輩の 顔が近づく。
自然と唇を重ねていく。


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