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夜来香 〜若叔母と甥、禁忌の果て〜(改訂版)
第20章 姉の事情
時折、健人くんの視線を感じることが増えていった。
それも年相応の男の子の反応だと可愛らしいとさえ思っていた。
うちの息子も女性に興味津々となっているんだろうと、健人くんを通して実感していたものだ。
それでも、健人くんの興味をそそるのはもっと若い女性なんだと決めつけていた。
中学三年で受験生になった二人。
健人くんが夏の大会を最後に部活を引退すると、我が家を訪れる頻度が明らかに増えていった。
陽翔は美術部であまり引退という線引きが曖昧らしい。
受験する高校も陽翔にとっては難しくないのだろう。
のほほんとして過ごしていて、親のこちらが心配したくらいだった。
そして、事件はある秋の日の夕方起こった。
中学最後の文化祭が間近だった。
陽翔は作品を作る為にこの頃帰りが遅いことが多かった。
「おばさん…上がるよぉ…」
一戸建ての我が家は日中、鍵などかけていなかった。
「はーい、どうぞぉ……」
ドタドタと廊下を歩いてくる。
健人くんはいつも元気だと感じる日常の足音。
「先に手を洗ってらっしゃい…おやつあるから……」
「了解です…」
勝手知ったると健人くんは洗面台で手を洗ってから顔を見せた。
「陽翔は今日も遅くなるの?……」
リビングに買っておいたモンブランを出して問いかける。
「ぁぁ…あいつこの前コンクールで入選したでしょ…あれからモテまくりなんだよ……美術部だの、クラスの出し物のポスターまで作ってて忙しそうにしてるよ……いただきます…」
「あら、そう……サッカー部のエースだった健人くんより?……」
「おばさんまで…過去形で言わないでくれるかな…」
私達は笑いあっていた。
「夜までここで勉強して帰るでしょ?……」
「うん、陽翔に教えてもらうのが一番解りやすいからね…」
「今日は健人くんの好きな餃子よ……楽しみにしてて……」
「やったね…俺、手伝うよ……」
「いいって…受験生なんだから、上で勉強してなさいな……」
最近、気難しくなった息子よりも遥かに会話が弾んでいた。
「わかった…ありがとね…」
ぺろりと食べ終えたケーキのお皿を下げようと立ち上がると、健人くんも立ち上がる。
二階に行って勉強でもするのだろうと、由紀子は背中を向けた。

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