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路地裏文化研究会
第2章 路地裏文化研究会
 中村さんが苦笑いしています。そんなに卑下しなくてもいいのに、と思いました。わたしは、何となく居場所を見つけたような気持ちになっているのですから。

 「はあ…」
 「それで、新入会員を募ろうっていうことで、随分前に『〇〇タウン』に載せてはみたものの、全然反応がなくってね。みんな諦めてたんだ。それにしても、よく見つけてくれたね?」

 中村さんは感心しています。

 「え? 随分前…ですか?」

 中村さんに返された『〇〇タウン』は3年も前に発行されたものでした。特にくたびれてもおらず、てっきり最新号とばかり思っていました。喫茶店で手に取る人はいなかったのでしょうか…。わたしは何も言わずに『〇〇タウン』をカバンに仕舞いました。

 「それにしても、お嬢さんみたいな人が来てくれるなんて思ってなかったよ。みんな喜ぶよ」
 「あ…『年齢不問』って書いてあったから…」

 ピントのズレた答えをしてしまったと思いながら、とにかく、こんなわたしでも喜んでくれるなら有難いと思いました。まあ、社交辞令というものなのでしょうけど。

 「年齢を不問にしてくれるのはお嬢さんのほうだよね。有難いことだ」
 「いえ、そんな…」

 おじさんが好きなのでちょうどよかったです…とは言えませんでした。

 「不定期なんだけどね、路地裏歩きをしたりしていてね。歩いた後は、まあ、飲んだり食べたりもしているんで、どっちが目的だかわかんないような集まりだけど、よかったら是非…」

 わたしが大学で見聞きするサークル活動も、粗方そんなものなので違和感は感じません。

 「あ、はい…。ええと、それで、あとどうすればいいですか?」
 「ああ、そうだね…。次の会の日にちとか決まったら連絡したいんだけど…」
 「アパートの共同のピンク電話の番号でいいですか?…」

 そう言ってから、わたしは、番号を諳んじていないことに気付きました。今まで誰かに電話番号を伝えたことなんてなかったから、もちろん聞かれたこともなかったし…。

 今度はわたしがカバンの中をゴソゴソして、手帳に書き留めていた電話番号を見つけ出しました。見守っていた中村さんがメモ用紙とボールペンを差し出してくれました。写し間違えないように数字を1つずつ書きました。

 「よければお名前も…」

 気が利かないわたしです。書き足してメモを渡しました。
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