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夜空に煌めくアラベスク
第11章 みずがめ座の女

6月になるとクールビズが解禁となり、社内の男性社員たちはスーツを脱ぎ、ワイシャツ姿での勤務が多くなっていた。

梅雨入り間近ということで社内は少しだけ蒸し暑かった。


水谷藍子は、この季節が大好きだった。
なにせ、男性社員の多いこの部署はやたらと男臭くなり、数少ない女性社員は男臭い部署の匂いに愚痴を言い合っていたが、藍子はなぜかそんな男の体臭が好きでたまらなかった。

そんな職場とも、もうすぐお別れだと思うと感傷的になった。
長年付き合っていた彼氏からプロポーズされ、結婚退職が決まっていたからだ。

「水谷くんとこうやって仕事をするのも後わずかだね」

このデーター処理も頼むよと、書類を持ってきた主任の成田聡が藍子の肩をポンと叩きながら感傷的にそう言った。

「私…悩んでいるんです」

プライベートな話題は避けてきたが、なぜか成田にだけは心を許せて打ち明けることが出来た。

「悩んでいる?結婚することを?
それって、マリッジブルーって奴かな?」

良ければ相談に乗るよ
そんなことを成田に言われて「じゃあ、話を聞いてもらえますか?」と藍子は成田を終業後に時間をとってもらうことにした。

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