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夜空に煌めくアラベスク
第12章 うお座の女

カラオケスナックの店内に爆音が響く。

浮島佐代子はカウンターの中で爆音を聞きながら『この子たち売れないわね』とひそかにため息をついた。

事業家の夫に先立たれ、夫の遺産でこのカラオケスナックを開いた。
かなりの資産だったので、お店が繁盛しなくても困りはしなかった。
せっかく完全な防音設備を施工したのだからと、お店の暇潰しにと若いアマチュアバンドにライブ会場としてお店を提供したりしていた。

中にはインディーズで食べていけそうなバンドもあったけれど、今夜、お店を提供してあげたロックバンドはアマチュアそのもので、とてもメジャーデビューなんて夢のまた夢だなと感じていた。

そんなバンドでもボーカルの男の子がイケメンだからか、それなりの客を引き連れて来てくれて店はそれなりの儲けを出せそうだった。

ライブ終演後、儲けさせてくれたお礼にとお店を打ち上げ会場として提供した。

店のカウンターレディたちも我先にとボーカルのイケメンに群がり口説いてもらおうと色目を使っていた。

そんな群れから離れてメンバーの一人がポツリと酒を呑んでいた。

「どうしたの?みんなと盛り上がらないの?」

佐代子が気になって、彼の隣に腰かけて声をかけてみた。

「あんまり騒がしいのは好きじゃないんです」

『よく言うわ…あんなけたたましい爆音を鳴らしておいて…』

そう思ったが、風変わりな彼に興味を覚えて「よかったら二階の私の部屋でゆっくりと呑まない?」と彼を自室に招いていた。

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