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夜空に煌めくアラベスク
第5章 獅子座の女
その夜、東京の議員会館から地元に戻ってきた代議士の父の和馬が居間に娘の亜希菜を呼び出して「お前は私の跡を引き継ぐ覚悟があるのか?」と問いただした。
「もちろんよ、そのつもりでこの退屈な家で生まれ育ってきたんだから」
大野家は代々国会議員を輩出してきた地元の名士だ。
「代議士はな、それなりの教養と気品を身に付けなければいけない…そこでだ」
父の和馬は、まるで料亭にいるかのように手をパンパンと叩いた。
居間の襖がスッと開いて一人の男が姿を現した。
「紹介しよう。私の第三秘書の八坂だ」
「八坂守と申します」
年の頃は20代後半といったところか…
八坂と名乗った男は居間に正座すると仰々しく頭を垂れた。
「その男なら知ってるわ。お父様の腰巾着でしょ」
「こいつをお前の教育係としてそばに付けるからしっかり政治家としてのいろはを彼から学びなさい」
「教育係?はあ?何言ってるの?
私、二十歳(はたち)そこそこの世間知らずのお嬢様じゃないわ。
お父様は私をいくつだと思っているの?
私、もう四十のおばさんよ」
もっと年輩の方にいろいろ教わるのならともかく、
どうして一回りも年下の男に教えを乞わなければいけないのか。

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