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『春の嵐』
第4章 心美
「いいの?わたしに話して・・・」

心美の声が聞こえた。

「だって、犯罪よ。許されないわ。『シェア』って言葉をいくら捻っても、することは、レイプじゃない」

朋華が言うと、姉が、ホワイトボードに、

「輪姦!Gangbang」

と、書いて見せた。英単語はわからなくても、輪姦だとは朋華にもわかっていた。でも、それを言葉にしたくはなかっただけ。

「ありがとう。でも、大丈夫よ。もう、あのマンションにはいないから」

心美の声が聞こえた。

「えっ?」

朋華が驚くと、

「ごめんね。引っ越したの。学校も退学したのよ。今日・・・」

と、心美が小さな声で言った。

「えっ?」

さっきから同じ返事しかできていない自分に気が付いた朋華。残り十七日なのに、卒業しないの・・・。でも、その思いは言葉にならなかった。

「あの学校を卒業したくなかったから。中学までは義務教育だから、引っ越して、ここの校区の中学に明日から通うの。二週間くらいしかないけど」

心美の声が聞こえた。

「そうなのね」

何とか、それだけは言葉にできたけど、続けられない朋華。横で姉が頷いていた。そして、ホワイトボードに

「正解!」

と、書いて見せた。

「そうね。それがいいわね。わたしもそうしたらよかった」

朋華が言った。ある意味、本音だった。姉もそう。ただ、勇気がなかった。

「朋華には無理よ。兄弟がいるから。わたしは一人っ子だからできたけど」

心美の声が聞こえた。確かにそうかもしれない。それに、朋華の両親は、この学校がいいと思っている。低学歴の両親にとって、大学附属というネームバリューは価値があるのだろうけど・・・。そういえば心美の両親は高学歴・・・。たぶん、大学附属なんて無価値なのかもしれない。

「そうかもしれない。でも、わたし、高校受験したのよ」

朋華も黙っていたことを話した。

「そうなんだろうって思ったわ。香菜や早苗みたいに、難関高校は無理でも、あるものね」

心美がクスっと笑った。

「わたしは・・・」

心美が高校の名前を教えてくれた。まさかの同じ高校だった。

「そうなのね。わたしも、そこよ」

朋華が言うと、

「そうなの。高校でもよろしくね」

と、心美が話した。

「こちらこそ」

朋華も応じた。
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