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『春の嵐』
第3章 序章。
梨々香。本当は、この学校で高校に進学する予定だった。

でも、恵樹はそんなつもりはなかった。両親は学校に対して批判的だった。それに、梨々香との関係が、小学校高学年くらいから微妙になると、複数の女子生徒が割り込んできた。

その女子たちは、高校受験を考えていた。進学塾に通い、模試の話をしていた。そこに巻き込まれていった恵樹。

梨々香から恵樹を引き離すには、自分たちと一緒に高校受験をさせるのがいい。それが、女子たちの考え方だった。

特に、本庄朋華、岩松香菜、川崎早苗の三人は、恵樹に恋心を抱いていて、執拗にアプローチしていた。

「高校受験した方がいいよ。こんな学校、高校に進学しても碌な大学に通らない。附属だから、上の大学には上がれるかもしれないけど、先生の顔色ばかり見ないといけないし」

「そうそう。あと三年も、先生たちの言いなりになるなんて御免だわ」

「恵樹くんも、そう思わない?」

「思うわよね。こんな学校」

確かに、こんな学校という言葉が似合う学校だった。特に、恵樹にとっては。

男子生徒たちの嫉妬に付き纏われていたから。朋華、香菜、早苗の三人に囲まれている恵樹を見る男子生徒の視線には、棘どころか槍の穂先か、矢の鏃が着いていいそうだった。

女子には好かれても、男子からは突き放されている恵樹。仲の良い男子は二人か三人。

それ以外は敵という感じ。

優しくて笑顔の多い朋華を好きな男子は多く、賢くてスタイルの良い香菜、童顔で幼児体型なのに成績優秀な早苗も、負けず劣らず、好意を寄せる男子はいた。

その三人を独占する恵樹。嫉妬されるのも仕方がない。
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