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闇夜を彩るアラベスク
第2章 おうし座の男
それから、ひと月、毎週病院に通って点滴治療を受けて、ようやく梅毒が完治した。
「はい、おめでとう。もう大丈夫ですよ。これからは相手を選んでセックスすることをお薦めします」
医者の言葉を聞いて、ようやく普通の男に戻れた気がした。
早速、サユリとは違う女をデリバリーしたいところだが、先月、サユリに五万円もぼったくられたので遊ぶ金さえなかった。
完治して心は晴れやかなのに足取りは重く、トボトボと病院を後にした。
「梅毒、完治して良かったですね」
不意に背後から声をかけられた。
私服なので気づかなかったが、どうやら治療初日に聖人のチンポを握ってマジマジと見つめていた例の看護婦だった。
「お陰さまで…でも、その…梅毒って大きな声で言わないでもらえますか?」
「えっ?ああ、ごめんなさい」
クスクスと笑う仕草が可愛い。
「そうだ!完治のお祝いしてあげるわ」
お祝いと言いながら、洒落たカフェでパフェを聖人に奢らせた。
ちゃっかりしている子だなと思いながらも、美味しそうにパフェを頬張る彼女と向い合わせで座っていると穏やかな気持ちになれた。
「改めまして、私、柏原です。柏原紀代美といいます」
さんざん飲み食いした後で自己紹介するものだから、少しばかり天然の女の子だなと思った。
「えっと、僕は…」
「前田くん」
「えっ?」
「カルテに書いてあったから、名前、覚えちゃった
よろしくね前田聖人くん」
ペコリとお辞儀をする紀代美。
彼女のうなじがチラッと見えてドキッとした。

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